IIJ GIOに仮想マシンを移行する レプリケーション編#2: VCDAのデプロイ(前半)デプロイ前の確認事項

IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2

本記事は、VCDAを利用開始するための準備の解説記事の続きです。

タイトル 概要
#0: VCDA について VCDAの全体概要
#1: レプリケーション:移行を利用可能にする FSRでの契約・設定作業
#2: VCDAのデプロイ(前半)デプロイ前の確認事項 移行元基盤へのVCDAアプライアンスのデプロイ
#2: VCDAのデプロイ(後半)VCDAをデプロイする
#3: VCDAの初期設定 VCDAコントロールパネルの設定・FSRとの接続
#4: レプリケーション設定 仮想マシンの移行・ネットワーク設定
#5: レプリケーションのテスト テスト移行の実施
#6: 仮想マシンを移行する 移行の実施

今回はVCDAアプライアンスの導入要件と、導入する前に確認しておくべき設計項目をご紹介します。

VCDAアプライアンスの導入要件

VCDAアプライアンスの導入要件として3つの要素があります。vSphereのバージョン、vSphere環境のリソース、通信要件です。

はじめにvSphereのバージョンです。2023年9月現在、IIJ GIO P2 Gen.2 フレキシブルサーバリソースのレプリケーション:移行オプションで利用しているVCDAアプライアンスは、バージョン4.4.1です。そのため、対応しているvSphereのバージョンは次のとおりです。

  • 5.5 update3
  • 6.0 update3
  • 6.5 update3
  • 6.7 update1/update2/update3
  • 7.0

マイナーバージョンにも指定があるためご注意ください。

次に、vSphere環境のリソースです。VCDAアプライアンスをvSphere環境に導入する際には、次の仮想リソースが必要です。

  • CPU:4core
  • メモリ:4GB
  • Disk:10GB以上(利用期間に依存して増量が必要になる場合があります)

また、移行元のvSphere環境にはvCenter Server(Windowsアプリケーション版、もしくはvCenter Server Appliance版のいずれか)が必須です。

最後は通信要件です。VCDAアプライアンスは次に記載した通信を行います。

外部通信

ポート 用途 備考
443 サービスエンドポイントとの通信で使用 アドレス変換(NAPT)は利用可、プロキシ経由は利用不可

内部通信

ポート 用途 備考
443 vCenter Serverとの通信で使用 VCDAからの送信
8043 VCDAでの受信
443 作業端末からVCDAの管理画面へのアクセスに利用 VCDAでの受信
80 ESXiサーバとの通信で使用 VCDAからの送信
902
44046 VCDAでの受信
53 DNSサーバとの通信で使用 VCDAからの送信、vCenter、ESXi、
及びサービスエンドポイントの名前解決が必要
123 NTPサーバとの通信で使用 VCDAからの送信

設計・確認しておくポイント

上に記載の要件を踏まえて、次の内容を設計・確認しておく必要があります。

ネットワーク設計として

  • インターネット上にあるサービスエンドポイントまでの疎通性はあるか。
  • vCenterやESXiとの疎通性はあるか。
  • VCDAの管理画面へのアクセス経路はあるか。
  • DNSサーバとの疎通性はあるか(DNSサーバとの疎通性がない場合は/etc/hostsへの記載でも問題ありません)。
  • NTPサーバとの疎通性はあるか。

vSphere設計として

  • 移行元環境のVMwareは対応バージョンに含まれているか。
  • VCDAアプライアンスをデプロイする空き容量はあるか。

ネットワーク設計例を図で表すと次のイメージです。

VCDAは管理ネットワークと外部接続用セグメントの2つのセグメントに接続し、それぞれで通信経路を確保しています。

※ 移行対象となる仮想マシンについては、管理ネットワークやインターネット上のサービスエンドポイントとの疎通性は必要ありません。

事前に確認・設計しておくポイントは以上です。次回の記事では、ダウンロードしたVCDAアプライアンスをVMware vSphere環境にデプロイ(配置)します。

執筆者
IIJ クラウド本部 クラウドソリューション部 ソリューション2課